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 〜サービス業から得る看護のヒント〜
第8回 表現力
西井拓也 ⁄ 精神科看護 2006年11月号掲載
人はプラスイメージの言葉を使っていると,表情もいきいきしてきます。
充実している生活を送っているから,そういう表情になるのではありません。
使う言葉で表情が変わってくるのです。

マイナスイメージの言葉を口癖のようにしている人は表情が暗くなってしまいます。
マイナスイメージの言葉とは「無理」「いい加減に……」「どうせ……」などです。

また,いい方でイメージが変わってくる場合もあります。
「細かい」という言葉は,ほめているのか,けなしているのかが微妙です。私はよく人から「細かいですね」といわれます。そういうときは,たいていマイナスイメージです。

洗車をするときに,ツマヨウジや綿棒を使っていると「細かいですね」といわれます。
こういう場合,けなす意味ではないのであれば「きめ細かいですね」といえば,ほめ言葉になります。もしくは「こだわりがあるんですね」といういい方もできます。
ほんの少しいい方を変えただけですが,大きくイメージが変わります。

こういう表現の仕方は,患者さんと会話をするときにも役立てることができそうです。
職場の同僚と話をするときにも,明るくてやりがいのある雰囲気にするのに役立てることができます。

たとえば相手が,マイナスイメージの言葉を使いそうな場合は,
こちらが先にいってしまうことで雰囲気が柔らかくなります。

仕事をしていて「疲れた」という人には,その人が弱音を吐く前に「疲れたでしよ?お疲れさま」といってあげると,職場の雰囲気がよくなります。でも,こういうことは観察眼がなければいえません。

表現力には,観察力が必ずセットになっています。
観察できるから表現もできるのです。これは芸術家と同じです。
ただ観察するのではありません。心地のよいものを見つけて表現していくのです。

たとえば,日差しがまぶしいときには「日差しが気持ちいい」といいます。
じっとしていても汗が出るくらい暑い日も「暑いけど気持ちいい暑さ」といいます。
仕事で疲れても「なんか心地よい疲れで,今夜はよく眠れそう」といいます。
こういうことがいえる人が職場に1人でもいると,雰囲気が全然違ってきます。

日差しの気持ちよさに気がつかない人は「まぶしいから力ーテンを閉めてくれ」といいます。暑さを心地よく感じようと思わない人は「ああー,暑いなあ」とだらけます。疲れている人は「俺は働きすぎだから,少し休ませてくれ」というようになります。まるで,他の人は働いていないようないい方になってしまって職場の雰囲気が悪くなってしまうのです。

表現力は,自分にウソをつくということではありません。
接客業というと,自分を押し殺すようなイメージを持たれがちですが,そうではありません。自分の本音で相対するために,表現力が必要なのです。

心地よい表現ができるようになるには,心地よさを感じとる観察力や感受性が必要です。ボキャブラリーが豊富であるというだけではなくて,自分自身が心地よい存在になることです。「あの人といっしょだと楽しい」といわれる人になると,仕事もどんどん楽しくなっていきます。
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