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 〜サービス業から得る看護のヒント〜
第8回 表現力
西井拓也 ⁄ 精神科看護 2006年11月号掲載


私はサラリーマン時代に接客業をしていました。
お客様にはさまざまな価値観の方がいらっしゃいますし,洋服販売の場合は身体的な話になってしまうので,言葉の表現には細心の注意が必要になってきます。

たとえば男性の場合は,肌が色白なことを気にしている人がいます。
男性はあまり自分のコンプレックスを口に出しませんから,いろいろなことを想定して接しなければなりません。“日焼けした肌が男らしい”と思っている可能性を考えて言葉を撰ぶのです。

「肌の白い方には,こんな感じのネクタイの色が映えます」というと,傷つけてしまうかもしれません。そういうときは「ネクタイがこの色のほうが,お客様はより知的に見えます」といういい方をします。男性に対して“美白”というのもおかしいので,少しひねりを加えた表現をするのです。

ご夫婦のお客様を接客すると,奥さんが旦那さんのことをからかうことがあります。
「ウチの旦那は太っててみっともないでしよ?」とふられると,店員としては困ってしまいます。「そうですね」では失礼ですし,明らかに太っているのに[そんなことないです」ではウソになります。そういうときは「いや,でもご主人は気品がありますよね」といういい方をします。

太り方にも下品な太り方と,上品な太り方があって,旦那さんには気品を感じます,という意味です。そうすると,旦那さんが不快な思いをすることなく話を展開させていくことができます。こういう表現の工夫が,コミュニケーションに生きてくるのです。

私は日常的に“キライ”という言葉を使わないように意識していました。
どんなに会話が弾んでいても「キライ」という言葉を使うとテンションダウンしてしまいます。どうしてもいわなければならない場合は「苦手」というようにしていました。

食事の話題になって,お客様から「店員さんは嫌いなものはありませんか?]と聞かれると,「納豆が嫌いです」とはいわずに,苦手というようにするのですが,この差が大きいのです。

そのお客様は納豆が大好きかもしれません。隣のお客様が納豆職人かもしれません。
もしもそうだったら,店員とお客様との間のテンションが下がってしまいます。
そういったことを考えて「私は納豆が苦手なんです」といういい方にしていくのです。

“キライ”といってしまうと,一生納豆が食べられないままのように思います。
“苦手”だったら,なにかのきっかけで,納豆が好きになるかもしれない可能性を感じます。「ニオイがダメならワラに入った納豆だと平気ですよ」とアドバイスをもらえるかもしれません。

優しいイメージや柔らかい言葉を使うと,話をよい方向に展開することができます。
表現力は相手を尊重して,いかに言葉をいい換えることができるかが大切です。
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